朝起きたのは7時。
今日も朝からナイル川の岸辺を散歩。
贅沢な毎日です。
250kmほど離れたアスワンの街へ移動する予定。
昨日ルクソール駅で購入した切符を持って、
再び駅へと向かいます。
乗る予定の列車は9時45分ルクソール発。
しかし、列車は3時間以上遅れているそう。
エジプトではいつものこと。
インドを思い出します。
係員によると、チケットがあればどの列車に乗ってもオッケー、とのこと。
というわけで、30分後にやってきたアスワン行きの別の列車に乗り込みました。
1等車なので非常に快適。
料金はたったの51ポンド(約320円)。
刑務所のようなインドの列車とは大違いです。笑
列車は約3時間半後の13時に、アスワンに到着。
今日の宿はナイル川の中州に浮かぶ安宿。
そのため、中洲へ向かう船が出る船着き場に向かいます。
ここが船着き場。
5分ほどで船が到着。
イスラム教の国なので女性は優先、
船の前半分は女性専用なので後ろに乗り込みます。
写真で対岸のように見えるのが、宿のある中洲。
ものの2〜3分ほどで到着し、宿にチェックイン。
ナイル川の水は澄んでおり、船が複数浮かんでいます。
この宿では、宿泊以外にあしたのツアーの手配をするつもりでした。
明日の予定は、いまいるアスワンから300km南にある、
アブシンベル神殿へ行って帰ってくること。
本当は、このアスワンから出ているアブシンベル神殿往復ツアーに参加する予定でしたが、
宿で確認してみると予約でいっぱいとのこと。
しかも、ツアーを催行している大元の管理人がいっぱいと言っているそうなので、
他の代理店で聞いても同じでしょう。
車を貸し切って行くと97USD(約11000円)かかると言われたので、
仕方なく、地元民が使うローカルバスで行くことに。
宿の主人によると、
ローカルバスなら往復100ポンド(約660円)だそう。
「お弁当作ってやるよ!笑」と言われました。
というわけであしたは地獄のバス旅決定です……笑
今日は特にすることもないので、
アスワン郊外にあるイシス神殿という遺跡を見に行くことに。
あした訪れるアブシンベル神殿と同様にこのイシス神殿も、
アスワンハイダムの建設によって水没の危機にさらされましたが、
UNESCOの援助により、分解・移転され、守られました。
アスワンハイダムは1970年、ドイツと旧ソ連の協力によって完成したダムです。
当時、急激な人口増加という問題を抱えていたエジプトは、
ダムを造ってナイル川を堰き止めることで、
農業用水の安定した確保と電力の生産を行おうとしました。
ここで問題になったのが、ダムの建設によって造られる人造湖に、
貴重な遺跡群が沈んでしまうこと。
なにしろ、人造湖の規模は世界最大の全長500km(東京〜大阪と同じ距離)、
琵琶湖の7.5倍というとてつもないものです。
遺跡群を水没から救うべく、UNESCOは世界中から資金と知恵、技術を集めました。
そして、遺跡を切断して巨大なブロックに分け、
移設して組み立ててしまうという計画が実行され、
無事に成功しました。
さらにこれを機に、
人類の宝でもある貴重な文化遺産、自然遺産を保護していこうという機運が高まり、
世界遺産条約が採択され、
この移設された遺跡群は世界遺産第1号として登録されました。
遺跡の入場チケットを購入し、渡船乗り場へ。
しかしここで問題が。
訪れている観光客はぼくたち以外全員がツアー客。
ツアーではなく個人で訪れた場合、
船を貸し切って渡らなければいけないそう。
バカバカしい決まりです。
ニヤニヤと船頭たちが近寄ってきて、
足元を見て値段をつりあげてきます。
泣く泣く180ポンド(約1300円)で船を貸し切りました。
看板には大きな文字で船は1隻150ポンド、と政府が書いていますが、
全員がその決まりを無視すれば、ぼくらはどうしようもありません。
どうせ政府側の係員にもキックバックがあるので、
通報したところで何の対応もしてくれないでしょう。
エジプト人の観光客へのタカリっぷりは本当に酷い。
こんなことをさせるために、世界中の人々が協力して遺跡を移設したわけではありません。
あぁ、腹が立つ。
遺跡はとんでもなく素晴らしいですが、
人間が腐りきっている国、エジプト。
そしてぼくたちだけを乗せた、ガラガラの大きなボートは出航。
ものの数分でイシス神殿がある島に到着しました。
ナイル川をバックにして建つ神殿はなかなか絵になります。
門構えもなかなかに立派。
しかし、この遺跡、
ルクソールなどにある他の神殿と比較すると、
保存状態が著しく悪いです。
ボったくられてイライラしているので、
文句ばっかりですみません。笑
彫刻は殆どが削り取られ、
壁には落書きだらけ。
落書きの日にちは1800年代と、
それすらもはや歴史になりそうな古さですが、残念。
ローマ字で書かれており、名前的にも、
ここを訪れたヨーロッパ人が残したものでしょう。
ただ、場所によっては保存状態のよい壁画も。
この神殿は、他の多くの神殿とは異なり、
左右非対称な造りをしているのが面白いです。
たっぷりと堪能したあとは再び船に乗って戻ります。
街に戻ったあとは、ナイル川に沈む夕陽を眺めながら夕食。
絵画のような風景です。美しい。
すっかり辺りも暗くなり、街を散策。
スークをぶらぶらします。
ルクソールのスークとは違って客引きも控えめで、
とても居心地のいいスークです。
再び船着き場まで歩いていき、渡し船に乗って、
宿のある中洲へと戻ります。
あしたは地獄の長距離移動が待っているので、
今夜は早めに寝ます。
おやすみなさい。